牛馬文化の系譜と変容‐動物遺体分析の限界を克服する複合的アプローチ

  • HOME
  • 研究紹介
  • 牛馬文化の系譜と変容‐動物遺体分析の限界を克服する複合的アプローチ
代表者 植月 学
分担者 矢野萌生(千葉工業大学), 庄田慎矢(独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所), 金井拓人(帝京大学), 覚張隆史(金沢大学), 上條信彦(弘前大学)
研究協力者 福田健司(元東京都教育庁)
研究期間 2022~25年度
概要紹介 牛馬は列島の家畜の中で一貫して重要であった。牛馬にかかわる文化複合がどのような系譜をもち、いかに変容を遂げてきたのかは列島史を理解する上で重要なテーマである。しかし、従来の動物遺体研究では遺存度の制約により時代・地域間の比較が困難であった。本研究では以下の複合的アプローチを用い、牛馬のライフサイクル全体を分析対象とすることでこの限界を克服する。
1.牛馬関連遺物として土器、石器を新たに分析対象とする
2.同位体分析や脂質分析の適用
3.古病理、解体痕分析など動物遺体自体の分析の精緻化
4.現生標本によるレファレンスの整備
以上により検討材料を飛躍的に増大させ、牛馬文化解明のための新たな方法論を確立する。
キーワード 牛馬 、動物考古学、同位体分析、脂質分析、石器使用痕分析
グラント 科学研究費基盤研究(B)/23K21994
グラントURL https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-23K21994/
業績 ・[論文]"平泉の馬ー岩手県志羅山遺跡出土馬の再検討ー" 植月学, 帝京大学文化財研究所研究報告, 22, 155-162, 2024.
"甲斐中世馬の実体 ー武田氏館跡出土のウマ全身骨格- " 植月学, 甲斐の中世史(萩原三雄氏追悼論集刊行委員会編), 81-96, 2024.
"中世都市鎌倉における動物の古病理 " 植月学,
季刊考古学 別冊, 44, 75-90, 2023.
The use of horses in classical period Japan inferred from pathology and limb bone proportion" Uetsuki, M., Nishinakagawa, H., Yamaji N., Asian Journal of Paleopathology, 4, 13-28, 2022.
"百々遺跡と古代の牛馬利用" 植月学, 覚張隆史,
モノ・構造・社会の考古学-今福利恵博士追悼論文集-, 433-444, 2022.
・[学会発表]
"Do Native Horses Represent Past Japanese Horses? Diversity of Limb Bone Proportions in Japanese Ancient and Medieval Horses" Manabu UETSUKI, The 21st Congress of the International Federation of Associations of Anatomists, 2024.
"近世下総ウマ集団の特徴"
植月 学, 山本満梨奈, 櫻庭陸央, 宮川博司, 日本動物考古学会第11回大会, 2024.
"中世鎌倉におけるウシの古病理" 植月 学, 山本満梨奈, 櫻庭陸央, 第9回日本古病理学研究会大会, 2024.
"日本列島への牛馬文化の渡来と変遷" 植月学,
日本考古学協会第90回総会・セッション6「動物骨からみた世界と日本の家畜文化」, 2024.
"Bridging the Gap: The Zooarchaeology and History of Medieval Japanese Horses" Manabu Uetsuki, 14th International Council for Archaeozoology Conference, 2023.
"中世鎌倉出土馬の来歴-ストロンチウム同位体比分析による検討- " 金井拓人, 植月学, 覚張隆史, 矢野萌生, 町田嗣樹, 日本文化財科学会第40回記念大会, 2023.
"現生御崎馬骨標本の病理学的研究と出土ウマ遺体への応用" 植月学, 西中川駿, 松元光春, 日本動物考古学会第10回大会, 2023年
"中世死馬の用途、利用集団と場面を解体痕から探る" 植月 学, 日本文化財科学会第39回大会, 2022.
"Horse skull asymmetry and horseback riding in medieval Japan" Manabu Uetsuki, The 1st Asia-Pacific Paleopathology Forum, 2022.
"日本列島の古代・中世馬の四肢骨プロポーションの多様性" 植月 学, 日本動物考古学会第9回大会, 2022.
アウトリーチ ・2024年1月、甲府市歴史講座にて中世馬について講演しました。
・2023年12月、山梨郷土研究会 地域開放講座にて古代の牛馬について講演しました。
・2022年11月、おいらせ阿光坊古墳館 古墳館歴史講座にて古墳時代の馬について講演しました。